トラブルが続くANAから、こんどはかなり深刻なトラブルが発表された。
世界で初めて導入したB787のエンジンに問題があり、改修作業のため欠航便が継続して発生するというのだ。
問題が発生したのはロールスロイス社製の「トレント1000」型エンジン。発表資料によると2016年に入って3度のエンジントラブルで離陸空港に緊急着陸する事例がおこっている。
1)2月22日 クアラルンプール発成田行きNH816便
2)3月3日 ハノイ発羽田行きNH858便
3)8月20日 羽田発宮崎行きNH609便
さらに、原因は違うとされるものの、離陸時のエンジントラブルで緊急中断した事例が
4)8月15日 成田発上海行きNH692便
そして発表当日の朝にも離陸中のトラブルによる緊急着陸事例が発生し、原因がまだはっきりしていない。(
⇒ANAのリリース )
5)8月25日 羽田発福岡行きNH241便
怖いのはいずれも離陸中で、高度がそれほど高くない状況でトラブルが発生していること。旅客機は片方のエンジンだけでも飛行できる性能はある。しかし、2つのエンジンが同時に停止すれば、あとはグライダーのように滑空するしかできない。高度が低ければ滑空の余地もない。これだけトラブルが続くと、2機のエンジンが同時にストップする緊急事態の可能性も心配してしまうのが人情だ。
「ハドソン川の奇跡」と呼ばれる事件があった。離陸直後の高度850mという低空でバードストライクしたA320型機の両エンジンがストップ。空港に引き返すことも不可能だったが、機長の奇跡的な操縦によってハドソン川に不時着して、無事に救助されたという事件(映画化され2016年秋の公開予定)。詳しくは
Wikipediaさんの記事を参照して欲しい。
ANAのB787も両エンジンがストップして海上に不時着、「東京湾の奇跡」という事態だけは避けなければいけない。そのためには、徹底的に問題を排除してほしい。
実は、ロールスロイスのエンジンはA380に装着された「トレント900」型でも、飛行中にエンジンが破損し機体を損傷させるという、重大トラブルを発生させている。原因は設計通りに製造管理が行われていなかったこと(詳しくは
こちらの記事を参照)
▲カンタス航空のA380型機でのエンジン破損事故(写真はREUTER、WSJさんより引用)
ロールスロイス社の品質管理は信頼できるのか?
そんな不安を抱いてしまうよ。
B787に搭載された「トレント1000」型は、787用に開発された最新型。そして、787を世界で初めて運航させたのはANA。そのため、いちはやく不具合が出現するのもANAの機材から、という背景があるのだろう。であれば、改修作業も速やかにANAから完了させておくれ!
日本の空を、安全第一で楽しもう、、、!